きっかけの街 モントリオール

モントリオール製菓学校公式ブログ。 モントリオールのこと、お菓子のこと、北米の日々を綴ります。

タグ:#カフェ

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モントリオールのカフェに、ほぼ毎日立ち寄るお客さん。

いつもオーダーは、フィルターコーヒーの特大。一杯づつ淹れるスタイルでしたので、姿が見えるとすぐにコーヒーをつくる準備にとりかかっていました。

早くコーヒーをつくらなくちゃ、そう思わせたのは、この方がはいているローラーブレードのせいかも知れません。毎回ブレードでサーッとやって来ますので、こちらもドライブスルーのような感覚になって、早く対応しなくては、と焦るのでした。

最初こそオーダーを聞いていましたが、そのうち何も言われなくてもフィルター特大をつくるようになりました。言葉を交わすこともなく、日々、無言でしたが、また来てくださることが最高のコミュニケーション。私にはそれが心地よく、毎回この方の姿が見えると、急ぎつつも心の中にはホッとする安堵感がありました。

ところでこの方、誰かに似ています。

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ロジャースカプの観戦に行ったとき、「あ!」つながりました。

 

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モントリオールでは、女性の就業率が高く、保育園が充実しています。公立なら、1日$7で預けられますし、ナニー(ベビーシッター)を雇うのも一般的です。男女同じように働き、同じように家事や育児をする。フェアな社会だと思います。

モントリオールで営業していたカフェの向かいにはナニーのおばちゃんがいて、何人かの子どもを預かっていました。週に2〜3回はカフェにやって来て、子ども達のおやつと自分のコーヒーをオーダーし、しばし時間を過ごしていました。

私はナニーを雇ったことがありませんので、どんなルールになっているのか詳しいことはわかりませんが、預かった子どもを連れて外出するのは、自分がナニーだったら緊張するものだと想像します。

ところが、このおばちゃんは、細かいことを気にしないというか、大らかというか、放任主義。私が言うのも何ですが。。カフェで過ごしている間も、子ども達に対しては、まるで自分の子どものように接していました。

写真は、ある日のおばちゃん家の玄関の風景。
道路に子ども達だけが出ていることに、私は気が気でなく、子ども達の無事を見守るべく、お客さんが来ないことを祈っていました。何かあったら出て行く準備もして。

ほどなくしておばちゃんは現れ、どこかへ出かけて行きました。

さて、この日の夕方、おばちゃんと子ども達はカフェにやって来て、クッキーをあるだけとコーヒーをオーダー。おばちゃんは、いつも営業の終わり頃に来るので、お菓子が残っている日は、大概「あるもの全部ちょうだい」と言ってくれる有り難いお客さんでもありました。

しばらくすると、子ども達のママが現れました。子ども達は嬉しそう。ママも嬉しそう。おばちゃんはホッとした表情をしています。

あまり神経を使っているようには見えなくとも、やはりナニーは大変な仕事。今日一日の使命を終えて一息つくおばちゃんが、その瞬間はカフェの中で一番輝いていました。

こんな場面は、何にも代え難い、私にとっても嬉しい瞬間です。



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モントリオールで営業していたカフェから見える景色。こんなに素晴らしい立地はそうそうないと、改めて実感するのがこの季節。

この街の紅葉は、赤よりも黄色が多く、風は日に日に冷たくなるのに、街の表情は明るくて、ふとした風景に温かさを感じます。
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公園の木々も黄金色。
まぶしい季節が続いています。
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1996年、日本に上陸したスタバ。
実は私、スタバでのバイト経験があります。今思えば、「超」がつくほど忙しいお店で、バリバリ働く「スタバ大好き」なスタッフたちの中、レジの前にできる行列にビビってしまうような冴えないスタッフでした。ミルクを温めてラテを作るという「花形」ポジションまではほど遠く、唯一力を発揮できたのは、営業後の掃除。 これだけは手際が良いと店長に褒められていました。

そんなほろ苦い思い出のあるスタバですが、お客としても随分お世話になっています。

人と会うとき、人を待つとき、待たせるとき。

特に海外では、スタバを見つけるとホッとします。「はずれ」がなく、この3つのことが、とりあえず安心してできるからです。

写真は、ヒューストン郊外にあるスタバ。慣れない地では特にそのありがたさが増し、短期間ですがほぼ毎日通っていました。

オーダーの時に名前を聞かれ、ドリンクができるとその名前で呼ばれるのですが、一度として正しく呼ばれたことはありません。たいがい「トミー」と呼ばれます。日本人は英語が聴き取れない、話せないとよく言われますが、逆も然り。心の中でそう思いながら、トミーになってドリンクを受け取ります。
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ペストリー類は充実しています。でも、モントリオールのスタバの方が、種類は絞られていますが味は勝ちかな。

サービスがすばらしいわけでも味がとびきり良いわけでもないのに通ってしまうスタバ。絶対的な「安心感」の底力、恐るべし、です。

ちなみに、旦那も新しい地に行くと、まず探すのはスタバとトレーニングジム。スタバではカプチーノグランデとシナモンロール2個をオーダーし、得たカロリーをジムで消費しています。スタバもジムも本人も、win-win-winの関係ですから、良いのかも知れませんが。だったらシナモンロールを1個にしておけばいいのに、と思いつつ、経済活性化の一端を担っているのだと、私は冷静に傍観しております。 
 

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