バイオリン1
モントリオールで営業していたカフェの向かいに、バイオリンの修理工房がありました。

北米全土、そしてヨーロッパからも、バイオリンはもちろん時にはチェロなどの修理依頼がひっきりなしに来るこの工房、その信頼度、技術度の高さが伺えます。それは経営者や職人さん達のお人柄にも表れていて、カフェの常連さんだった彼らは、みなさん感じの良い方ばかり、穏やかな紳士淑女のチームとお見受けしました。

このチームが夏の終わりに開催するマイス(とうもろこし)収穫祭にお招きいただいた時のこと、工房の中を見学したいと申し出たところ、快諾し丁寧に案内してくださいました。

細いらせん階段を上がると、2階、3階に幾つかの小さな部屋があります。修理待ちのバイオリンが整然と並んだ部屋、道具箱や部品と共に修理中のバイオリンが横たわる部屋、そして修理が終わって主人(あるじ)を待つバイオリンや弓が並ぶ部屋などなど。この小さな工房は、『全てはバイオリンのために』という表現がぴったり。そしてここで働く職人さん達も。

彼らは、もともとオーケストラなどでバイオリンを弾いていたので、この楽器を知り尽くすスペシャリスト。持ち合わせた絶対音感から、微妙な音の調整もお任せくださいという技術的な自信と、バイオリンが好きで好きで仕方ないという愛を持った方たちばかりです。その語り口調からも、バイオリンに対する想いが溢れていました。

こんな素敵な楽器が弾けたら、どんなに楽しいことでしょう。弾くことは難しいまでも、バイオリンの演奏を聴くことが特別なものになりました。この工房に出会ったおかげです。

Wilder & Davis
http://www.wilderdavis.com/en/luthiers

バイオリン2