モントリオールにお店を出そう。そう決めたので、まず日本で始めることにしました。

それまでの私は、お菓子作りが趣味。手作りならば大概ほめられるということを経験から知っていたので、作ったものを友人や家族に振舞っていました。そして、よく言われるセリフを疑うことなく鵜呑みにしていたのです。

美味しい!これは売れるよ。 

30%ほどをリップサービスとして盛った反応と解釈していましたが、今となってはほぼ100%、食べた側のサービス精神によるものだったと思っています。なぜなら、私が作ったものを食べてコメントをくれた人たちからお代はいただいていないのですから。

お金を支払う代わりの誉めことば。そう言ってしまうと極端かも知れませんが、ヒトがお金を使うには理由がある。このことは、自分のお店をやって初めて実感した事実でした。

「これは売れるよ」と賞賛されたシュークリーム。開店当初がマックス。あとは日が経つにつれて少しづつ販売数が落ちていきました。

その時には、現実を認めたくない私がいました。初日からしばらくは完売。徐々に終了時間が延びて、閉店ギリギリで完売、そして1個、2個と残る日が出てきました。自分一人だったら、そのままズルズルと残る日に耐え切れず、割引で販売、などということを考えたでしょう。いわゆる、縮小均衡の考え方。

それを救ったのは、ワーホリでカナダに行き、たい焼き屋をオープンさせたツワモノ。海外でお店ができる、と思わせてくれた人でした。
http://montrealcake.blog.jp/preview/edit/d190ab3477595a443180fcf80e8f26df 

彼の指示により、お菓子類はショーケースから撤去。商品のテコ入れが始まりました。

つづく