外食の楽しみのひとつ、パンのプレゼンテーション。
日本では、ご飯ものは締めに出されるのがお決まりですが、フレンチを始め欧米料理は、最初にパンが出てきます。フレンチならバゲット、シリア料理ならピタ、ポルトガル料理なら軽めのポルトガルパン、といった具合に、その国の料理に合ったものが出てきます。たかがパンですが、大切な食事のプロローグ、その後の料理への期待を膨らませる役割を担っており、されどパン、なのだと思います。
モントリオールには、レストラン向けのこだわりバゲット卸専門店があるほど、重要なポジションを占めるパン。どのレストランでも美味しくて、メインの前についつい食べ過ぎてしまいます。
上下の写真は、『ピエ・ド・コション』という大人気の肉料理店と『リッツカールトンホテル』内レストランで提供されたパン。どちらもお店のコンセプトに合ったプレゼンテーションで、趣は違えど素敵です。パンはどちらも美味ですが、それ以上にプレゼンが印象的。何気なく料理を引き立てる名脇役の演出方法は両店舗ともさすがです。
話は少し逸れますが、パン(pain)はフランス語と知ったのは中学生の時、英語だと思っていた私には衝撃でした。英語ではブレッド(bread)と言います。
「パン」という単語を、日本でそのまま通じるフランス語として認識していましたが、ある時、日本のビストロで、パンをお代わりしようとした旦那。口から出た言葉は、「デュ・パン」(du pains)。
何度繰り返しても理解できないホール係に苛立ち始めた彼、そりゃ私だって解りません。こういう時にも冠詞をつけるものなのか、と心でメモを取りながら、郷に入りては郷に従っていただきたい、とやんわり諭(さと)しておきました。
When in Rome, do as the Romans do.
こんなとき、受験で丸暗記した英語の諺が役立つとは。何でも勉強しておくものですね。
モントリオールで肉料理ならここ。予約必須です。
Au Pied de Cochon
リッツカールトン内のレストラン。ランチがおすすめ。
MAISON BOULD